EURO2020/レッドブル選手の個別レビュー

EURO2020/レッドブル選手の個別レビュー

 新型コロナウイルスの感染拡大により、1年遅れで開催されたEURO2020。

 有観客で行われた大会は、まだ100%ではないもののフットボールの熱が戻り、ウェンブリーでの激闘を制したイタリア代表の優勝で幕を閉じた。

 今回は、そんなEURO2020に出場したレッドブル選手のパフォーマンスを振り返るレビュー記事となる。なお、「レッドブル選手」と定義する基準はRBライプツィヒ、RBザルツブルクが保有権を持つ選手(ローン含む)、または21/22シーズンに加入することが大会前に内定していた選手とした。そのため、ヴェルナーやキミッヒのような元レッドブル選手は除外している。また、NYレッドブルズとRBブラガンチーノには該当選手がいなかった。

EURO2020グループリーグ組み合わせ

 まずはグループリーグの組み合わせを確認していきたい。

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 EURO2016から24ヶ国開催となり、グループ3位でも通過できる可能性があるため、以前ほど強豪ひしめく組み合わせにはならず。

 その中で最大の注目とされたのはグループF。前回王者のポルトガル、W杯王者のフランス、2014年W杯王者のドイツが同居する「死の組」に。そこに若きエースのショボスライ擁するハンガリーがどう立ち向かうかという構図だったが、ショボスライは長引く負傷から復帰できずに大会を欠場した。

 分散開催だったため、イタリアやイングランドなどはホームゲームをすることができた。結局ベスト4に残ったイタリア、イングランド、デンマーク、スペインはグループリーグを3試合ホームで試合をできたチーム。バクーまで飛ばなければならなかったチームもあった中、移動の負担を最小限に抑えられたのはアドバンテージだった。

イヴォン・ムヴォゴ

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【スイス/0試合出場】

 RBライプツィヒでグラーチの高い壁を超えられなかったムヴォゴは、今季PSVにローン。元ザルツブルク監督、ロジャー・シュミットの下でプレーしたものの、安定感のあるプレーだったとは言えないシーズンを過ごした。

 それでもスイス代表に入ったムヴォゴだったが、このチームの絶対的守護神はゾマー。彼が数々のビッグセーブを見せ、ムバッペのPKを止めてベスト8進出の立役者となったところを、ムヴォゴはベンチで見ていた。

 ムヴォゴは21/22シーズンもローンでPSVに残留する。PSVは新たにGKを補強しており、来季もファーストチョイスとなれるかは分からない。正念場となるシーズンが始まる。

ユスフ・ポウルセン

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 【デンマーク/5試合出場/2ゴール】

 RBライプツィヒでは決定力のあるFWとは言えないポウルセンだが、ロシアW杯に続いてビッグトーナメントのスコアラーに。ベルギー戦での先制点とロシア戦でのミスを突いたゴールは、初戦で心停止によって倒れたエリクセンのショックから立ち上がるエネルギーとなった。

 しかしベスト16のウェールズ戦を負傷欠場すると、その間に序列が逆転。ドルベリやダムズゴーがスタメンで使われるようになり、ポウルセンはジョーカーでの起用に変わっていった。

アンドレアス・ウルマー

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【オーストリア/2試合出場】

 RBザルツブルクのベテランであるウルマーは、最初の2試合に出場。3バックを採用したチームにおいて、左WBとしてプレーした。

 ただ、その2試合のチームとしてのパフォーマンスは決して高いものではなかったため、戦術を変更。3試合目のウクライナ戦からは4バックとなり、3バックの真ん中だったアラバが左SBに。ウルマーはベンチに座ることになった。

コンラッド・ライマー

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【オーストリア/4試合出場/1アシスト】

 負傷により今季RBライプツィヒでのシーズンをほぼ全て棒に振ったライマーは、ギリギリ大会に間に合わせた。

 オーストリア・ブンデスリーガから選出がほとんどなかった中で、1年間まともに試合出場がないライマーが選ばれたことは、国内でも批判の声が上がった。

 だが、大会が始まると全ての試合に様々なポジションで出場し、彼らしいパワフルなプレーを見せた。

マルセル・ザビッツァー

【オーストリア/4試合出場/1アシスト】

 RBライプツィヒで絶対的な主力のザビッツァーは、オーストリア代表でも4試合全てにフル出場。

 戦術変更により、ライマー同様多くのポジションでプレー。ナーゲルスマンによって下がり目のポジションを経験したことも代表チームを助けた。

 ザビッツァーは残り1年となる契約をまだ延長しておらず、大会終了後の去就に注目が集まる。

ヨシュコ・グヴァルディオル

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【クロアチア/4試合出場】

 ウパメカノ、コナテが去ったRBライプツィヒに来季加入するグヴァルディオルも、19歳ながら大会に出場した。

 左利きでCB、SB両方をこなせるグヴァルディオルは、今大会は左SBで全ての試合に出場。

 レッドブルが評価しただけあるスピードなど光るところは見せたが、不安定な部分も覗かせた。初戦からタッチやキックがあまり安定せず、スペイン戦ではロングパスの目測を誤り失点の原因にもなった。

 ただ、まだ10代。これから新天地のRBライプツィヒでさらなる成長を期待したい。

カミル・ピアトコフスキ

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【ポーランド/0試合出場】

 来季RBザルツブルクに加わるピアトコフスキにとって、EURO2020は苦い思い出となったかもしれない。

 コロナの影響で今大会は登録枠が26人に拡大されたが、ベンチに入れるのは本来の23人だけ。ピアトコフスキは一度もベンチに入ることなく大会を終えた。

 チームも予選番長っぷりを露呈し、レヴァンドフスキという世界一のストライカーがいながら未勝利でグループリーグ敗退。

 この悔しさは新しいクラブで晴らしてもらいたい。

ダニ・オルモ

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【スペイン/5試合出場/3アシスト】

 ダニ・オルモの大会スタートは、ウィングでの起用から始まった。

 しかしパフォーマンスは良くなく、チームも2引き分けスタート。3試合目は90分ベンチに座った。

 上向いたのは決勝トーナメントに入ってからだ。かつてディナモ・ザグレブ時代を過ごした彼にとって思い入れのあるクロアチア戦で、途中出場から2アシストを記録。

 そして、解き放たれたのはイタリア戦。偽9番として起用されると、スペインのボール保持のクオリティを上げた。最後はPK戦で自らも失敗して敗退となってしまったが、この試合がベストの出来だった。

 RBライプツィヒにとって懸念なのは、この後行われる東京五輪も参加する予定であること。体を十分に休める時間はない。

エミル・フォルスベリ

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【スウェーデン/4試合出場/4ゴール】

 大会前に代表復帰したイブラヒモヴィッチだったが、負傷により大会出場は叶わず。これまで通り、スウェーデンの攻撃はフォルスベリやイサクらに期待がかかった。

 ソリッドな[4-4-2]でスペインとの初戦を引き分けで切り抜けると、スロバキア戦ではフォルスベリのPKでの1点を守った。

 ポーランド戦では2得点の活躍。フォルスベリはロシアW杯でもこのサンクトペテルブルグのスタジアムで得点しており、自身のInstagramで「St. Emilsburg」と投稿した。

 決勝トーナメントのウクライナ戦でも3試合連続ゴールとなる得点を上げたが、チームは退場者を出した影響もあり、延長戦終了間際に力尽きた。

ルーカス・クロスターマン

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【ドイツ/0試合出場】

 今大会を3バックで臨む決断をしたレーヴ。左WBはアタランタで慣れ親しむゴセンスが入ったが、右WBはクロスターマンの負傷によって本職不在という事態に。結局キミッヒがスライドして出場したものの、機能したのは5レーンを埋める攻撃の対策がずさんだったポルトガル戦くらいだった。

 そもそも、クロスターマンはナーゲルスマンになってからRBライプツィヒで基本的に3バックのCBとして出場しており、万全な状態だったとしてもどのくらいフィットしたか分からない。

 ロシアW杯での優勝以降、迷走を続けた「レーヴ・マンシャフト」は、最後の輝きを見せることもできずに終わった。

マルセル・ハルステンベルク

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【ドイツ/1試合出場】

 今季RBライプツィヒで序列を下げたハルステンベルク。さらに直前の代表招集では、コロナ陽性となったホフマンとバックギャモンを興じていたとこで濃厚接触者に。アピール不足で大会を迎えた。

 結局出場したのは勝敗がすでに決していたポルトガル戦のみ。クラブでも代表でも、不完全燃焼のシーズンが終了した。

ペーテル・グラーチ

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【ハンガリー/3試合出場】

 初戦は終盤の連続失点で敗れたハンガリーだったが、2試合目のフランス戦では堅いディフェンスを見せた。グラーチも安定感あるセービングや積極的な飛び出しなど、RBライプツィヒで普段見せているハイパフォーマンスを披露した。

 ドイツ戦ではミスもあったが、最後まで強豪3ヶ国に対して食らいついた。

ヴィリ・オルバン

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【ハンガリー/3試合出場】

 アンダー世代ではドイツ代表だったが、フル代表ではそれを諦めてハンガリーを選択したオルバン。今回はハンガリー代表として、初のビッグトーナメントとなった。

 エースであるショボスライが不在の中、グラーチらと共に守備でハードワーク。

 3強1弱と思われた死の組において、最後まで突破の行方を分からなくする印象的なパフォーマンスを見せ、グッドルーザーとして大会を去った。

コンスタントに一番良かったのはフォルスベリでしょうかね。グヴァルディオルはまだ素材型なのかなという印象でした。

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