サッカークラブの「エンブレム」、「ロゴ」はそのチームを表す一種の記号のようなもの。それぞれのチームの伝統や歴史だ。創立から同じものを使い続けているところもあれば、時代に合わせて変化するところもある。
ユヴェントスのブランディング戦略
近年大きく変化したクラブでいうと、ユヴェントスがあげられるだろう。
ユヴェントスを含む多くのサッカークラブのエンブレムは、基本的に紋章に由来している。紋章の起源はヨーロッパ中世の軍隊が使っていた盾をモチーフにしていることから、エンブレムの形は盾、楕円、円が多いのだ。
そんなユヴェントスは、2017年にエンブレムを大胆に変更。世界的なブランド開発会社にデザインを依頼し、シンプルで近代的な「ブランドロゴ」を展開した。
“レッドブル”のサッカークラブ
では、RBライプツィヒのロゴの歴史について見ていきたい。
2009年に5部のSSVマルクランシュタットをレッドブルが買収して始まったRBライプツィヒは、そもそも歴史が非常に浅い。そして、RBライプツィヒやF1のレッドブル・レーシングなどレッドブルが保有するチームは、「レッドブルの商品を宣伝するための広告塔」という側面もあることから、エンブレムのデザインにはそれが色濃く出ている。2頭の赤い雄牛と黄色い太陽、真ん中にサッカーボールがあれば、一目で「レッドブルのサッカークラブ」と認識してもらえる。
このデザインはレッドブルがほかに保有するRBザルツブルク、NYレッドブルズ、RBブラガンチーノ(RBブラジル)と基本的に同じデザイン。これはおそらく、レッドブル本社からの意向なのだろう。
実はクラブが創立された当初は、上画像の他チームのようにエンブレムの上部が「RB」ではなく「Red Bull」だった。しかし、リーグの規定でスポンサー付きのクラブ名を入れられないことから、RasenBallsport(芝生球技) Leipzigを略してRBライプツィヒとなった。
2010年になると、ロゴに微調整。雄牛に躍動感を持たせる効果が入った。
大きく変わったのは2014年。この年に2部昇格となったRBライプツィヒは、2部リーグへの参入の条件として、ロゴの変更を迫られる。2頭の雄牛と黄色い太陽がレッドブルを連想させるからだ。これによりクラブは、黄色い太陽を削除するという対応に至った。
2020年には小さな修正が入る。ロゴの枠の部分が2本線から1本線となり、真ん中のサッカーボールが立体的に。「RB LEIPZIG」のL、Z、Gの出っ張りがなくなった。これはロゴの視認性を高めるためだという。
「強いられてきた」歴史
振り返ってみるとRBライプツィヒのロゴは、微調整以外では外部から「強いられた」変更の歴史だった。
ロゴのデザインはレッドブル本社の意向であろうことから、これからもユヴェントスのようにブランディング戦略の一環として、クラブ単体が大胆なロゴの変更を行うことはないと思われる。
だがRBライプツィヒには若い選手が躍動し、能動的なサッカーをするというラングニックが築き上げたクラブ独自のアイデンティティがある。
ロゴに特殊性は持てなくとも、RBライプツィヒというクラブのブランドは年々高まっている。
ユヴェントスに続いてインテルも最近ロゴを変更しましたね。これから先、色んなデザインのロゴが出てくるかもしれません。